以前働いていた職場での話。

DQNな取引先(以降D社)があって、皆手を焼いていた。

やってる仕事はまっとうだが、担当者のA男がDQN。

口が悪くすぐ切れる。

無理難題を押し付けてきて、断るとブチ切れ。

その月の支払いを渋り(妥協点を見つけて最終的には払ってくれるが)、支払いが終わるとまたトラブル→恫喝の無限ループ。

「もうこの会社とはつきあえない」

と、どの会社もD社から手を引いていてそれでもどこからか新しい業者が参入するので、なんとかD社はもっていた。

とはいえ私の働いていた職場も(支払日の)月末が近付くと、D社との問題で毎月が修羅場だった。

そんなこんなで2年ほど取引は続いたが、いよいよもう付き合えない、切るしかないと誰もが思っていると、A男に呼び出された。

A男が担当から外れ、これからは新入社員のB郎が担当するという。

A男さえいなければ仕事じたいはスムースにいく(筈)。

しかし、そこからが本当の地獄だった。

B郎は底抜けのゆとりバカだった。

そもそもA男が担当を外れることになったのは、別の事業に異動したからでB郎は入社して、D社のことをろくにわからないまま担当になってしまった。

A男は既に別事業で忙しく、引き継ぎもしているはずだが、B郎はそもそもがバカだったのでメモを一切とっていなかったらしい。

つまり…取引で何かわからないことがあったら、うちの職場に電話をかけて聞いてくるようになった。

この電話が1日に多い時は10本くらいかかってくる。

しかしD社の担当者、C山は他の会社の担当もしているので、社内にいることは多くない。

B郎からの電話をとった人は、C山がいないとわかると

「C山さんいないんですか?何でいないんですか?いつ帰ってくるんですか?

さっき3時に戻ってくるって言ってましたよね。もう3時過ぎましたよ(3時1分)。

わからないなら、とにかくわかる人を出してください。緊急なんです。大至急です。」

と質問攻めをくらい、たいそう疲弊させられた。

しかも実際緊急だったことはない。

さすがにC山も呆れて、A男に軽く抗議したら、電話は少し収まったがほとぼりが冷めるとまたひっきりなしに電話がかかってくるようになった。
しかもそれが

「エクセルの操作方法」

とか

「ミスをしたがA男に怒られないためにどう話せば良いか」

といった、もはや取引すら関係ないものとわかり、ついに契約を打ち切ることに。

D社にC山とその上司らが向かい、契約を継続しない旨を伝えた。

事務の子が記録していた、B郎からの電話履歴(回数、通話した時間)を1ヶ月分のエクセル(A4用紙3枚分)を見せると、荒れ狂うA男。

(事前に行ってA男にも同席するように伝えていた)

B郎はC山らの目の前でA男に怒鳴られ、ガラスのテーブルにヒビが入り

「もう30にもなって何やってんだ!嫁さんも子供も泣いてるぞ!」

という発言から、見た目も中身も新卒だと思っていたB郎が30代既婚者(しかも子持ち)とわかったのが一番の衝撃だった(C山談)。

C山と上司はA男をなんとか落ち着かせ、B郎をどんだけ叩いても契約はしない、できない旨を伝え、今後は一切の電話もお受けできませんので。

と取引で使用していたデータなどを手切れ金がわりに渡して帰ってきた。

ついに社内に平和が戻った。

その夜は、D社に関わっていた皆で祝杯をあげた。

ふと思い出してD社を検索したらまだサイトはあったので、潰れてはいない模様。

B郎が、どうなったのかわからない。