2年ほど前に旦那と義実家が、元旦那と元義実家になったのお話。 

自分デザイナー兼イラストレータ 
義実家&旦那 地方の家庭内工業のちっこい印刷屋 

十数年前、その地方ではわりと有名なデザイン事務所でチーフデザイナーしてた私は、 
仕事つながり旦那と知り合い付き合って結婚。 

時代はDTP最盛期で印刷所もいっせいに変革を迫られていた時期。 
アナログからデジタルへの移行期で、 
macをバリバリ使いこなして旦那とともに次々に高額の印刷機械を導入する私は 
コンピュータのことなんてハナからバカにしていたウトメから目の敵にされた。 
でも時代の流れからして今導入しないとダメだと旦那を説得して 
生き残りのために真剣に印刷のことを学び、がむしゃらに働き続けた。 

デザインができてイラストもばっちりで、 
DTPに対応している印刷屋として周りの同業者がバタバタと倒産していく中、 
何とか生き残ることができた。 

そして十数年が過ぎた。 
近距離別居とはいえ、仕事場が一緒だからほとんど同居と同じで、 
「嫁のくせに家業を乗っ取りやがって!」とウトメに罵られながらも 
「お前は正しいよ。お前が嫁に来てくれたからうちはつぶれずにすんだ」という 
旦那の言葉を信じて、ずっとがんばってきた。 
忙しすぎて子供はできなかったというか作れなかったけど、家事もして、仕事もして…いつの間にか 
家族の中で働いているのは私一人になっていた。 
アナログなウトメはDTP化の波に乗り損ねて、若いスタッフに仕事をまかせたまま 
拗ねて働くのをやめてしまい、(正直、これはうるさい存在がいなくなってくれて嬉しかったが) 
旦那はイラストレータやフォトショップを覚える覚えると言いつつ、結局覚えなかった。 
専門用語がわからないから結局営業も行かなくなり、従業員と私に丸投げ。 
「俺はお前みたいに出来がよくなくて…。ゴメンな。お前一人に苦労させて…」 
人には向き不向きがあるし、旦那のきっと出来ない自分に苦しんでいるんだ…と思い、 
一層がんばる私はエネミー一直線だった。

私がこの印刷所を背負っているという自負もあったから、一人でもがんばってきたんだけど 
この不況で仕事が減ってきてほとんど働いていないのに給料を取っているウトメや旦那に 
従業員の給料のために取り分を減らして欲しいとお願いしたら、 
「全部お前の言うとおりにしてやったんだから、最後までお前が責任を取れ!」と 
ウトメだけじゃなく味方だったはずの旦那に思いっきり罵られた。 

あれ?あれ?何かおかしいって思いながら、話し合おうをしたんだけど、 
こっちが何を言っても罵られるばかり。 
わけがわからないまま事務所で一人で泣いていたら従業員の一人がこっそり教えてくれた。 
旦那、浮気してて実は子供も2人いるんだって。 
あまりの忙しさに全然気がついてなかったよ。 

ボーゼンとした後、ものすごい怒りが襲ってきて、旦那とウトメのいる場所に怒鳴り込んだら 
逆ギレした旦那に殴られた勢いで飛び出して、実家に帰ってしまった。 
実家にはすでに両親はなく、妹夫婦が住んでいたんだが、青たん作って返ってきた私にビックリして事情を聞いて憤慨。 
即座に病院とか連れていてくれて、悔しさと恥ずかしさと自分のバカさ加減に泣いてばかりいた私の代わりに 
退職と離婚までの手続きを全部やってくれた。

大変だったのは機械関係で2千万円くらい連帯保証があったこと。 
浮気の慰謝料と相殺で連帯保証人を外してもらい、財産分与もなしにした。 
文字通り無一文で放り出されたわけだけど、縁を切りたいばっかりだった私はそれで十分。 

即行で地元を逃げ出して、別の都市で就職した。 
技術はきっちり持っていたのでいくつかの派遣を転々として、今の会社に正社員で働いている。 
妹夫婦に借りたお金を返して、貯金も200万円貯まった。 

そして義実家の印刷所はこの前つぶれたそうな。 
ザマミロ! ボケ!