OL時代に、同期の中でも特に気が合って仲良くしていたAって女性がいた。

私は高校時代から付き合っていた彼氏がいたんだけどAは彼氏いない歴=年齢で、私によく彼の友人とか紹介して~って言ってた。

でも別に紹介するのが嫌ってわけじゃないんだけど、彼の友人ってみんな彼女いたし、知りもしない人を無理に紹介するわけにもいかないしで結局一度も紹介したことなかった。

今にして思えば、この時誰か紹介してAと付き合っていたら全然違う人生になってたかもしれない。

私の彼は当時まだ大学生だったので、会社の近くまで迎えに来てくれてデートすることが時々あったんだけど、ある時、私が仕事先のトラブルで帰社が遅れ、バタバタしていて彼に連絡が取れなかったんだ。

知らずにいつものところで待ってた彼がAとバッタリ会って、それがきっかけで私に内緒で付き合い始めたのは後になってから知ったこと。

私は元々鈍感なところがあったから、彼がだんだん会ってくれなくなったのも就活が忙しいせいだと思ってて、まさかAと付き合ってたなんて全然気付かなかった。

だからAには、彼が忙しそうで最近なかなか会えなくてさーなんて愚痴ってたんだよね。

で、彼が就職決まってお祝いにレストラン予約しようとしたところで、Aから「あなたがお祝いしなくてもいいんじゃない?」って言われてその時突然告白された。

就職先が決まったら言おうと思ってたけど、彼は今は私の彼だからって言われたんだ。


ビックリして彼に問い詰めたら、上記のようなことを聞かされた。

知らずにAに愚痴こぼしてたことが悔しくて悔しくて涙も出なかった。

彼は中学のときの初恋の人で、同じ高校に行きたくて勉強頑張って告白してやっと彼女になれて、ずっとずっと一筋だった。

でも彼の方は、ちょっと飽きてたみたい。

長く付き合いすぎて新鮮味もなくなってて、ついAに目が向いちゃったって言ってた。

すごくショックで会社辞めようかと思ったけど、ちょうどその頃、私のデザイン文字が商品パッケージに採用されるという事があって仕事がいいタイミングで面白くなっていたので、なんとか立ち直れたんだ。


それから一年後にAは寿退社した。

その3年後に私も結婚したんだけど、どこで私の新居を知ったのかそれまで音信不通だったのに、年賀状が届いたんだ。

元彼とAと子供が2人の幸せを絵に描いたような写真入りの年賀状に\"幸せです\"とAの字のコメント入り。

どういう意味があって送ってくるのだろうと、悪意を感じながらもその年賀状はスルーしていた。

そしたら翌年にも送ってきた。

今度は3人目らしい大きなお腹をこれ見よがしに突き出すようなポーズの写真だった。

それで彼の勤務先は分かってたので、昼休みに電話してどういうつもりか分からないけど、こんなの送って来ないでほしい、私にはもうとっくの昔に終わったことだから、って伝えて下さいとお願いした。

彼は全然知らないことだったようでビックリしてた。

写真入りの年賀状なんてオレ嫌いだから送ってないしと言う。

ってことは、私に送るためだけの写真入り年賀状ってことになる。

そこまで嫌われるようなこと、一体何をAにしていたんだろうと考えてもよく分からなかった。

何かはあったんだろうけど、だとしたら彼氏を盗って、もう十分じゃないかと思ったし立ち直って新しい幸せを手に入れようとしてることまで邪魔するのかと腹立たしかった。

その後A夫婦の間でどういう話をしたのか分からないし興味もないけど,
それから送られてくることはなかった。

そんなことがあってから10年以上が過ぎて、私ももう40代になり一児の母。

先月外出先であるショッピングセンターに立ち寄ったところ食品売り場のレジでAが働いていた。

それを見た時、ちょっと嫌らしい考えが浮かんだ。

その日、小奇麗な恰好をしてたし髪は美容院に行ったばかりだった。

ネイルの手入れもしたばかりだったし。

缶コーヒーだけ持ってレジに言った。

お金を渡す時にわざと「あら?もしかしてAさん?」と声を掛けてやった。

何年も手入れしてないような艶のない髪をひっつめて、肌もカサカサだった。

こちらの意図したことが伝わったようで「意地悪ね」と言われた。

「まだ1割もお返しできてないと思うけどね」って言ってやった。

少しだけ溜飲が下がった。

その後、お正月帰省したとき友人から元彼とAが離婚していたことを聞いた。

元彼の浮気と、Aがナントカ商法に引っかかった借金とを相殺して養育費のみの協議離婚だったそうだ。

子供には可哀想だけど、40代で3人の子供を育てていくのは大変だろうな。

そりゃ美容院に行く余裕もないかもね。

ちょっと酷いことしちゃったかなと少しだけ後悔したけど、あんな嫌らしい年賀状のことを思い出したら、まいっかとも思った。

これからは今の幸せを現状維持していくことだけ考えて行こうと思う。