3年前、自分の愛車を盗まれた挙句、廃車にされた時の話。

当時、当方毒男で通勤に便利なので、実家住まいだった。

当時自分はやっとの思いで買った、S2000に乗っていた。

大体300万くらいで走行距離も少な目の程度のいい中古車を見つけ、ローンを組んで買った。

もう嬉しくて嬉しくて、仕事から帰ってきては、ほぼ毎日のように短距離ドライブをしていた。


ある日曜日の朝、ものすごい音で叩き起こされ、何事かと思い、パジャマのまま外に出ると、自分の愛車が斜向かいの家のガレージに突っ込んでいた。

数秒思考が停止したが、自分の車だということに気づくと、

「うおわあああああああああああああ!」
と叫んでいた。

慌てて運転席に駆け寄ると、中にいたのは、近所に住む手癖の悪いと評判のAママ。

自分の愛車が盗まれそうになって事故った。という問題の他に、もう一つ問題があった。

それは、突っ込んだ先が斜向かいの家のガレージ。

斜向かいのお宅は、簡単に言うと893さん。

でも、普段はものすごい優しくて、893とは全く思えないくらい人当たりのいい人。

自分より年上ではあるが、小さい頃からご近所として付き合いがあり、時には相談にものってくれた兄的存在。

「○○にい!大変だ!」

と玄関で叫ぶと

「どした!?○○!?なんださっきのでかい音!?」

と同じくパジャマ姿で出てきた。

ガレージの参上を見るやいなや、

「なんでこないなってんのや!?○○!突っ込んだんか!?」

「いやいや俺じゃねえって!近所の泥ママに俺の愛車盗まれそうになってん!
で、運転しきれんで突っ込んだんだと思う!」

と状況説明。

その間、さすがに野次馬がぞろぞろと出てくる。

その後、泥ママは病院に運ばれ、全治3ヶ月の診断を受けたそうな。

気の毒だが自業自得。

おまけに突っ込んだガレージには、フルスモークのベンツが・・・

あちらの車もこちらの車も、フロントがほぼ全損。

双方の車は仲良く廃車に。

自分で努力し働いて、やっとの思いで買った愛車を廃車にされ、今まで生きていた中で一番の落ち込みを見せた。

そんな自分を見て、○○にいは

「何も心配いらん。全て俺に任せとけ。」

と言い、手続きやら何やら全てをやってくれた。

後で警察にどうやって車を盗んだのかを聞くと、

ウチの母の招きにより家に来る→自分の車のキーを盗って、鍵を複製→その後、忘れ物をしたといい再度家に上がり、鍵を元に戻すという方法だったそうな。

○○にいに全てを任せてから、3週間位経ったある日、○○にいが家にやってきた。

何やら風呂敷を持って来ていて、開けてみろと言われ、開けると、その中には札束が入っていた。

その額は7桁後半で、自分の愛車の値段の倍以上の金額が入っていた。

○○にい曰く「毟れるだけ毟っといた。お前を悲しませた罰じゃい」とな。

え?あ・・・うん・・・あれ?○○にいの車の分も毟ったの?あれ相当高いんじゃ・・・と聞いてみた。

「いや。そこまで毟ってない。というか毟れなかったわい。まあ普段綺麗にしていたけど、ちょうど買い替え時だと思っとったからちょうどええわwwww」

と笑っていた。

「まあきっちり風呂に沈めといたけど」

と言っていたのは聞かなかったことにするよ。

旦那さんと子供はどうなったかは聞いてない。というか聞くのが怖い。

いつの間にかいなくなっていたから余計怖い。

そんな怖いけど頼りになる兄貴は、先月、肝臓癌で他界した。

俺もうすぐパパになるよ!子供の名前には兄貴の名前から文字を貰うよ!