父親が、浮気相手の子(兄)をいきなり連れて帰ってきた。

浮気相手が、黙って勝手に産んで、他の男の子どもと偽って結婚して
暮らしてたらしいんだけど、バレて離婚して子どもおいて失踪したみたいで、
浮気相手の親が、父親と名指しされた父の職場に、その子の手をひいておしつけて、去っていったらしい。


いきなり兄の存在を告げられ、おしつけられた父親は、困惑しながらもうちに連れて帰ってきた。
母は「何で!」と怒っていたし、俺も土下座する父とかを見て、オロオロしてた覚えがある。
でもけっこう早い段階で、全員で一緒に晩ごはんを食べることになった。
トンカツとか、そんな普通の晩ごはんだったと思う。

その時俺は、一人っ子で、何かひねくれていて、家で親の言うとおり、
まじめにするのが何か恥ずかしいと思っている子どもだった。
食事も好き嫌いはないのに、何となく○○は食べたくないと偏食してみたり、
親が注意しても、箸をきちんともたなかったり、ひざたてて食べたりしていた。
兄は箸の持ち方も食べ方もきれいで、父が食事の最中、「こうでなきゃ」みたいなことを言った。

それを聞いて、何となく負けたくなかった俺は、今までやらなかった、行儀のよい食べ方をしだした。
好き嫌いもせずに食べた。
それを見て、母は「この子は兄弟がいたら、こんなにちゃんとするのか」と思ったらしい。

それだけじゃないとは思うけれど、それきっかけで、母は兄をひきとることを決め、
そのまま兄はうちの子になった。
俺が小学4年生、兄が小学5年生の話。
8ヶ月差の年子だったから、それからも 兄ができることは俺もできる、みたいな感じで、
宿題とか勉強もするようになり、 ひねくれてた俺は、まともに大学までいけるようになった。

兄は兄で色々思うことはあったと思うけど、
今は最初から4人家族だったみたいに 普通の家族でやってくれてる。
今思うとあの場にいた俺以外の3人すごいなーと思う修羅場。

最近兄に昔の事を謝られた事があった。
兄がこなかったら自分は適当に育ってたと思うよと伝えておいた。