私が住む地方は豪雪地帯で、毎年冬にはm単位の雪が積もります。

そんな冬の日の出来事です。

その時 私は深夜のバイトを終えて帰宅中でした。


静まりかえった住宅地にはギュッギュッと雪を踏みしめる私の足音が響くのみで、少々心細かった私は足を速めて家路を急ぎました。

すると、それまで雪を踏みしめる音しか聞こえなかった私の耳に「ズズッ」と何か重い音が聞こえ 私は歩みを止めて辺りを見回しました。

その途端「ドドドドドドドッ」と重低音を響かせ 私のすぐ横の民家の屋根から大量の雪が滑り落ちてきました 逃げる間もなく私はその雪崩に埋もれてしまいました。

私は雪の中で必死にもがこうとしましたが雪の重さは私に指一本も動かすことを許しませんでした。


かろうじて顔の横には僅かなスキマがありなんとか呼吸は出来ましたが 体を押しつぶされているため声が出せずこのままでは凍えるか僅かな空気が尽きるかのどちらかで死ぬことは間違い有りませんでした。

(住宅地で雪崩で死ぬなんて・・・そんな間抜けな最後は嫌だ)

そう思った私は必死で生きる方法を考えました 。

(体は動かない 声は出ない・・・どうすれば・・・そうだ!)

その考えは私にとっては天啓にも思えました。

私は冷え切って感覚の無くなりかけた下半身に意識を集中し

ジョ~~~~~~~
(おしっこで股間周囲の雪が溶ければなんとかなるかも・・・)

私にとっては股間の暖かさは微かな希望に繋がる最後の手段でした。

そして狙い通り股間周辺に少しスキマができ 腰がちょっとだけ動かせるようになりました。

私はありったけの力を込めて腰を振り 尻を突き上げ グラインドさせ雪を除けようと必死になりました。

(死にたくないオシッコ漏らした死体なんか人目に晒したくない)

しかし必死の思いも虚しく オシッコが冷えてくると共に腰の感覚が無くなってきてついには動かすことも出来なくなりました。

もう駄目だ・・・私が死を覚悟したその時、

ズガッ ガスガスガスガスッ

突如私の尻に響く衝撃、そして

「わっ!なんか埋まってるぞ!!」

私の耳にはその声は天の福音に聞こえました。

掘り出された私の周りには若い男女数人が集まっていて、それぞれ自分のコートを掛けてくれたり温かいコーヒーをくれたりしました。

私はその暖かさに自分が生きていることを確認して涙しました。

話を聞くと雪山の一部がモコモコ動いているのを発見した人が棒を突っ込んだところ柔らかい感触(私の尻)がしたので掘り返したら私が出てきた、という事でした。

こうして奇跡の生還を果たした私は 冷え切った体と凍りついたパンツでようやく帰宅することが出来たのでした。

毎年雪崩による犠牲者は後を絶ちませんが まさか住宅地のど真ん中で雪崩に遭うとは夢にも思いませんでした。

雪の恐ろしさと人の温かさという貴重な二つの経験をした、私の実話です。