まだ中学生だったある正月。 
昼過ぎに目が覚めて二階の自室から一階のリビングに降りて行った。 
で、階段の壁に水玉?の汚れが付いていて拭ってみたらなんか血っぽい。階段から続く廊下には血でのたくったような跡が。階段の正面には台所があるんだけど、そこに小さな血溜まりがある。 

ここまででサアッと血の気が引いた。 
両親は仲はいいけど普段から喧嘩しがちで、エキサイトすると飛び蹴りするわ張り手は出るわ…最近でも外に向かうでかいガラス窓を割ったこともあって、これはきっと、興奮したどっちかが殺っちまったな、と。ここまでの思考が自分の中では第一の修羅場。 

でも待てよ、強盗かも知れん。今階下にまだ潜んでるかも知れん。 
やべーよ見つかったら殺されるよ!と思いながら、血糊の続くリビングの扉を開けた。ある意味この時のビビり感も第二の修羅場。 

リビングでは両親がコタツでお酒かっくらって寝てたんだけど、血糊はコタツまで続いてたんでぺろっとめくってみた。 
で、俺号泣。 
オレンジ色の光に照らされた母親の足の小指が、ほとんど取れかかってプラーンとしてた。 
コタツの中のもわんとした熱気で血の匂いが生臭くて何だか変に甘くてむせかえる感じで(今でも忘れられない)、視覚との相乗効果で吐いてしまった。 
酔っ払ってると血が大量に出るとはよく聞くけど、目の当たりにするとマジでヤバイ。


ただならぬ様子で目が覚めた父親が、血まみれのコタツとゲロまみれの俺を見て酔いが吹っ飛んだようで慌ててタクシーを呼んで母親を病院に連れて行ってくれた。 

最後の修羅場は病院に連れてく途中のタクシーの車内で、目が覚めた母親が痛い痛いとのたうち回り、小指が切れた足で窓を蹴飛ばしたり運転手の頭をどついたりしたこと。 
父親と自分でどうにか抑え込んだけど、母親がここまで大トラだとは知らなかった。 
運転手には文句を言われ、病院では嫌味を言われ散々だった。 

原因はフードプロセッサーの刃。 
母親はそれを力任せに蹴飛ばしたものの、泥酔していたので痛みをほぼ感じないまましばらく放っておいたらしく、よくわからんが縫い合わせることは不可能で小指をほとんど切断してしまった。 

正月って食材いろいろ刻むもんな。準備大変だったんだよな。家族の誰もほとんど手伝わなかったもんな。ストレス半端なかったんだろな。 
でもフードプロセッサーの刃はきちんとしまってくれ。