うちの実母は俺の嫁に、ドラマに出てきそうな位テンプレなイビリを繰り返してた。 
俺と妹がいくら止めろと叱っても止めない。 
実家との絶縁も考えたが、天然で人の良い嫁はそんなことしなくていいよ~と笑ってた。 



そんなある日、仕事中実母から電話が。 
「助けて死ぬあの嫁あばばばばb」 
と意味不明な悲鳴に俺はビックリした。 
嫁が、というが嫁も今は仕事で隣町だし、ワケわからん。 
しかし非常事態だと判断し、早退して実家に直行。 
実家玄関に入った瞬間、俺は異常に気付いた。 

臭い。 

とにかく臭い。 

玄関先に漂う異臭に吐き気すらして思わず「なんじゃこりゃあ!?」と叫んだ。 
するとドタバタと家の奥から足音が聞こえてきて、泣きながら走って来る母親の姿が見えた。 
しかしそれと同時に異臭も強くなる。 
堪らず「寄るな!」と怒鳴ってしまった。 
よく見ると汁っぽいものにまみれており、口の回りも汚れている。 
何があったのか混乱する俺。すると後から父親と嫁が家に到着。 
とにかく母親をどうにかしようと思ったが臭くて堪らない。 
原因は汁らしいが怖くて触れないから、仕方なく母親が風呂に行こうとすると、父親が 
「止めろ!風呂が汚れる!庭でやれ!」 
怒鳴り母親は泣く泣く庭へ。 
俺と嫁はよくわからないけど、それぞれバケツとジョウロを使って風呂場から汲んだ水をざばざばかけてた。 
嫁が母親の頭にジョウロで水をかける姿は大変シュールだった。


この惨状の原因なんだけど、数日前嫁が実家にお土産を渡したいと実家に行った際、 
サッカー好きな俺と父親が話をしてた。 
その中で瑞代表のシェールストレームって選手が日本代表の本田と同じチームにいて、その選手に 
ついて話をしてたんだ。 
その時嫁が 
「私それ食べられないんだよ~」 
と言い出した。 
意味がわからず何だそれって聞いたら 
「そのシェールストレームってお魚、私苦手であんまり食べられないんだよ~。」 
てのこと。 
そう、嫁はシェールストレームをシェールストレミングと勘違いしていたのだ。 
シェールストレミングというのは知る人ぞ知る悪名高き世界一臭い魚の缶詰。 
で、その会話を聞いていた母親は嫁に嫌がらせしようとその 
シェールストレミングで料理を作って『お土産のお返し』にしようとしたらしい。 
で、いざ買ってきて、ろくに注意書も読まず電動缶切りで思いきりよく開封。 
開けた瞬間飛び散る汁。 
部屋に充満する臭い。 
母親はすぐに電動缶切りを止めようとしたが、電動缶切りの規格外だったシェールストレミングの 
缶は変に固定されておりうまく外れない。 
そのくせ電動缶切りは缶詰をゴリゴリ開けてく。 
結局母親が缶詰を電動缶切りから外そうと暴れているうちに、缶詰の中身やら汁やらが床に 
天井に冷蔵庫にべっちゃりと。 
挙げ句あまりの臭気に母親はゲロまでしてたらしい。 
取り敢えずその日は激怒した父親の言い付けで母親は納屋で一晩謹慎。 
その後すったもんだあり最終的に台所やら廊下やらは全部業者に依頼して掃除したり壁紙 
変えたりで本当に大変だった。 
それ以来母親は嫁をイビることはなくなり、むしろ嫁を見るとビクビクすらするようになった。 
そんな感じで今は平和。 
先日花瓶を割ったのがバレた子供が、父親から納屋行きを 
命じられていたのを見て思い出した