電車に乗ったら向かいの席のおじさんが自家発電を始めた。意味分からん。

私は県外の大学に通う為に実家を出ていて、月イチの頻度で帰省している。
費用を浮かす為にいつも鈍行で帰っていたけど、先日車内で変なおじさんに遭遇した。

片道2時間弱の道中半ば、私はついウトウトと舟を漕いでいた。
それなりに車内は混み合っていたと思うけど、気づいたら人がいなくなっていてびっくりした。
でも1人だけ残っている人がいた。
それが冒頭にあげたおじさん。


私が乗った電車は窓に沿ってベンチ式の席が伸びていて、私とおじさんは丁度お互い向かい合うように座っていた。
私が相手に気づいた時には既におっ始めていて、周囲の人がいなくなったのは十中八九おじさんが原因。
誰か駅員さんを呼んでくれたら良かったんだけど、人が来る気配はない。

しばらく呆然と固まっていた私だけど、だんだん怒りが湧いてきた。
さらにもうしばらくすると、怒りの代わりに憐憫というか、何とも言えない気持ちが込み上がってきた。

何というか、部屋の隅で綿ぼこりを見つけたような、車に轢かれた猫を見かけたような、
道端に吐き捨てられたツバを見てしまったような…?
とりあえず私はナーバスな気分になった。

ナーバスな気分のままおじさんを見つめていると、
最初盛り上がっていたおじさんはだんだん「あれ?あれ?」という怪訝な表情になり、
最終的にうなだれて動かなくなった。

少しの時間が流れた後、身なりを整えたおじさんは「すみませんでした」と呟いて電車を降りていった。

落ち込むくらいなら最初からしなければいいのに。