当時俺:中学生。チビ。帰宅部。ややオタク
その子=A子:別の学校の中学生。

A子とはゲーセンで出会ったのじゃ。
俺は当時女の子の友達などまったくいなくて、女の兄弟もいないし
性に血気さかんな時期なのに女の免疫がまったくなかったのじゃった。


A子の方から話しかけてきてくれて、ぽつぽつ話すようになった。
話すって言っても俺がゲームしてるの見て
「スゴーイ」「うまーい」ってA子が横で言うのを
「そんなことねえよ(照れながら。しかし内心もっと誉めろと思っている)」
と俺が答える。そんな感じでした。

ある日、雨がけっこう降ってた日にA子に
「うち遠いから傘もないし帰れない。俺くんの家に行っていい」と言われたのじゃ。
俺はドキドキしつつ「別にいいけど」と言って家に入れた。
うちは共働きで両親とも7時すぎないと帰ってこないし
年の離れた兄はもう就職して家を出ていました。

当時はエヴァンゲリオンがはやっていて、たぶん映画公開直前くらいだった。
女の子と二人で何していいかわからないし、
俺はA子にジュースとお菓子を出して
えんえんとエヴァのビデオを見せながら蘊蓄をたれた。
A子はいつものように「スゴーイ」って言ってたが
明らかにつまらなさそうで、俺はそれに気づいていたけど
他にできることもないから、空気読めないフリしてひたすらエヴァ解説を続けたのじゃった。


6時半くらいになってA子は
「もうこんな時間。帰らなきゃ」
と言って帰って行きました。正直ほっとした。
親が帰ってきたらどうしよーかと思ってたし、でも俺からは「帰って」とは言えないし。

その後、A子はゲーセンで会ってもなんとなくよそよそしくなった。
俺は「俺がつまんないアニメオタクだから避けられたんだ」と思って
ショボンとしつつ、話しかけられたら答えるくらいの距離をとっていました。

ある日ゲーセンを出たところで、知らないオッサンに声をかけられた。
「A子と親しいの?さっき話してたみたいだけど」
「え…そんなに親しくないです。この店で会うくらいです」
「A子の家行ったことある?もしくは君の家に連れてったことは?」
「ああ、ぼくんちに一回だけ」
オッサンの目の色が変わった。
俺はA子の父親かな…と思い、「ただアニメ見てお菓子食べただけです」とくりかえして
放してもらった。

数日後、ゲーセンの店の前でたたずむA子の姿が。
「どうしたの、入らないの」
「んーちょっと…それより俺くんちに行っていい」
正直この前のオッサンの様子でヤバイ匂いをかぎ取っていた俺は
「あー、ごめん、俺もちょっと鍵忘れて親が帰ってくるまでムリ」
と言いました。

「中でゲームしようよ」
と誘ったけどA子は「ゲームの気分じゃない。俺くんち行こう」と言い張る。
「だから俺んちムリだって」
「ムリとか知らないし。そっちの都合じゃん」
「いや都合とかじゃなくて鍵ないんだから物理的にムリじゃん」
「難しい言葉とか使うなよ。前から思ってたけど気取ってるよね、マジキモイ」
ヒートアップしてくるA子。

「キモイんだったらうち来たいとか言わなきゃいいじゃん」
「こっちだって言いたくねーよ。お前みたいなキモいカスチビどーでもいいんだよ」
「どーでもいいなら声かけんなよ。お前おかしいんじゃねーの」
ムカついたので俺は帰ろうとした。

そしたらA子の様子が急に変わって
「ごめーん、キモイとか言ったの嘘。ねえまたアニメ見せて。あれ面白かった~続き見せてよ」
とクネクネして、俺の腕にオッパイを押しつけてくる。

オッパイムハー!とは思ったがそれよりA子の様子がおかしすぎたから
「うちはムリ。ゲーセンで遊ぶならいいけど、家は入れられない」
A子「フギーーー!!」
なんか悲鳴をあげて、俺のバッグをひったくって逃げていった。

そしたらゲーセンから店員が、道の角からあのオッサンが出てきて、走ってA子をつかまえた。
A子は「痴漢だー!助けてー!犯されるー!」と叫んでたが
もちろん誰も助ける人はなくみんなザワザワしてるだけでした。
俺はてっきりA子がどっかで万引きしたんだなと思ってました。
それでゲーセンに出禁になったんだろうなーと。

びっくりしたのはA子が俺のバッグを車道に投げたこと。
轢かれまくる俺のバッグ。割れ物は入ってなかったからいいけどバッグはズタボロになった。

その後オッサンがボーゼンとしてる俺に名刺をくれた。
保護司さんだったそうだ。
A子んちが何やら複雑で、帰りにくい家だったということでした。
その後うちの親とオッサンが連絡とったらしく
俺は怒られ、でも新しいバッグは買ってもらえ、その後A子のことは忘れました。

今年の正月に帰郷して、たまたまA子のことを聞きました。
俺は別の中学だから知らなかっただけで、A子は有名な存在だったそうです。
A子母は今で言うナマポボッシーとかパチンカスってやつで
家に母親の彼氏がいつもいて、A子は家に帰れない状況だったらしい。

A子はゲーセンで男をひっかけては泊めてもらうのをくりかえしてたそうで
俺もそれ狙いで声をかけられたらしいが、やっぱガキだし
泊めてくれる様子もないし、お菓子だけでご飯も食べさせてくれないし…と
そうそうに候補から外れたみたい。
母親は何度言ってもA子をひきとりに来ないし、A子も売春まがいのことをやめないしで
保護司さんはそうとう気を揉んでたようです。

で、ゲーセンで男をひっかける行為でついに出入り禁止になり
行くあてもなく俺に声をかけた…というのがあの日のいきさつだそうです。
A子はそのとき妊娠していて、しんどくてとにかくどこかで休みたかったらしい。
だからもう相手は俺でも良かったんだろうね。

今はA子もA子母も地元にはいないそうです。
A子の子どもは生まれなかったらしい。
結局A子母の彼氏が父親だったとか。
噂だからどこまで嘘かほんとかわからないが、全部嘘でもないようだ。

中学生じゃなくて今の俺だったらもうちょっと
何かやりようがあったんじゃないかと思ったのでした。以上。