いつものように嫌みと自慢三昧のトメに、娘(トメにとって孫)が抗議した。 

「ばあちゃんはおかあさんひとりにお炊事もお洗濯もお掃除もやらせてるよね。 
それなのにお母さんには優しくしてあげないんだね。 
お母さんが泣きそうになってもいつもガミガミ言うよね。 
わたしだってお手伝いしてるのに、ばあちゃん忙しいっていってテレビ見てるよね。 
ばあちゃん、村でも評判の働き者だったんじゃないの?」 

「あたしはもうたっぷり働いてきたからもういいんだよ。 
『情けはひとのためならず』って言うんだ。 
若い頃には苦労して働かないと、人間がダメになる」と偉そうに言うトメに、 

「『情けは人のためならず』っていうのは、よその人に優しくしておくと
巡り巡って自分に返ってくるから、
他人には情けをかけておきなさいっていう意味なんだよ。
ばあちゃん、小学校でも中学校でもいつも一番だったんでしょ。
頭がいい人が、間違ったことを言っちゃダメだよ。」と、娘。

「情けはひとのためならず、巡り巡って自分のためなんだから、
お母さんのお手伝いしたらばあちゃんにもいいことあるよ。
ぼけないために体も手先も動かした方がいいっていうしさ、
さあ、ばあちゃん、いっしょに庭の草を引っ張ろう!」
と、娘はいやがるトメをコタツから引きずり出して、
庭の掃除に駆り出してくれた。