もう20年近く前。
学生だった私は、いつもは出張で不在がちな次兄がたまたま帰ってきていてバイクで出かける音で目が覚めた。いつもはそれぐらいで起きる事ないのに。
数時間後、家の電話がなった。長兄が出て何か病院の名前と場所を聞いている。次兄が事故ったと。すぐ行かなきゃいけないので、所用があり近所に出ていた母を呼びに行き、すぐに用意して家を出ようとした時また電話がなった。重体だから早く来いとの事。
慌てて三人で長兄の運転する車で出かけた。どこからどう行ったか分からないけど、途中の車内で長兄が相手がいるなら許さない。と母と話していたのだけ覚えている。

病院につくと処置室に案内された。慌てて入るとそこには人工呼吸されている次兄の姿があった。医師は待っていましたとばかりに説明をはじめる。

到着時には既に心肺停止だったと。おそらく即死でしょう。との事だった。
母は「なんとかなりませんか」と医師に聞いていたが、おそらく無理なのは承知で聞いたんだと思う。私は何度か、お兄ちゃん。と呼んだが、もちろんどうにもならず。カーテン一枚隔てた椅子に案内され、三人で処置が終わるのを待った。この数時間の出来事がまさに修羅場。
そこから、2,3日の記憶が曖昧。何年も事故現場に私は行けなかった。